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ある数学者の生涯と弁明 (シュプリンガー数学クラブ)
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| 商品カテゴリ: | 物理学,化学,数学,地学,科学,学習,知識
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| セールスランク: | 129164 位
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切なくて悲しげで、だけど素敵で涼やかで
ラマヌジャンを発掘し、リトルウッドとのコンビで数学史に名を残すハーディの、主に数学的世界観についての講演と、スノーによる回想を収録した一冊。
古き良き数学的プラトン主義、数学は実在であり発見である、という立場を主張する心地よい数学の哲学が堪能できる。
専門の人からみれば、古い、間違えている、と思うのかもしれないが、やはり私は数学は発見であるという立場を採用しているため、読んでいてすがすがしいものがあった。
ただ、期待していたようなラマヌジャンとのことや、ハーディの人生そのものはあまりふれておらず(スノーの回想でハーディがどんな人物かはとても伝わる)、ちょっと残念。
興味がある人以外には特にお勧めするほどではないが、数学的プラトン主義を再考したい人は抑えておくべき一冊。
美しくなければ数学じゃない!
「真の数学は美しいものであるべきだ。」「芸術作品としてのみ正当化される。」いわゆるハーディー主義的主張が満載です。
これは純粋数学の応用性の無さに対する弁明なのでしょうか?しかし数学の美しさがその単純性(公理・定理のシンプルさとカバーする範囲の広さ)にあるのでしたら、それ故に後年応用が発見されることはしばしばあります。
もっともハーディーお得意の数論って何に応用できるんだろう?当時いかにも役に立たなさそうだったブールの研究が後にブール代数としてコンピュータ科学で応用されるようになった例もありますので、ないとは言えません。
ハーディーの業績はラマヌジャンと共に語られることが多いのですが、ハーディー自身も「私の最大の数学的な発見はラマヌジャンを見出したことだ。」と言っています。ラマヌジャンは天才ですが、秀才ハーディーがいなければ、その発見が日の目を見ることはなかったでしょう。ラマヌジャンにとってその発見は明白であり、証明の必要性を感じなかったと言います。単に証明のテクニックを持っていなかったこともありますが、そんなラマヌジャンの発見の意味を見出して、数学的成果として歴史に残したのはハーディーの業績です。単なる秀才であったわけでもありません。
しかし晩年のハーディーが自嘲気味に「数学は若者のゲームだ。」と言うところに、数学の世界の厳しさを感じます。数学にノーベル賞はありませんし、フィールズ賞には年齢制限があります。
ちなみにラッセルはこう言っています。
「若くて一番頭のいい時期に数学をやり、少し悪くなったところで哲学をやり、それも出来なくなって歴史をやった。」
数学者らしい
大数学者ハーディが、純粋数学の正当性を自分の生涯行ってきた数論研究を通じて語った名著です。ハーディが言葉を選びながら厳密な議論を進めていこうとする姿勢に、彼の明晰さと数学者ってこういうことなのか、ということを感じさせます。文章は他の数学者(例えば藤原正彦さんや小平邦彦さん)のエッセイとくらべて暗い感じがしたのですが、そのことがむしろハーディらしさを際立たせていると思います。 ハーディの主張する「純粋数学は有用性から独立しているからこそ素晴らしい」という発言は、現在では暗号へ応用されているという事実をとっても当てはまらなくなっていると言われています。しかし、そのように自分が費やしてきた研究の正当性を言い切れる自信と実績は色褪せることなく、今でも魅力ある言葉として私には響きました。 スノーの「ハーディの思い出」と一緒に読めるのも嬉しかったです。これを読むと前半のハーディの「ある数学者の弁明」の一言一言がより鮮明になりました。ハーディはリトルウッドやラマヌジャンとの共同研究で名高いですが、この本においてもスノーの文書と一緒になることで、より自分の発言が際立つようになっています。もしかしたら彼は、人の力を引き出し、自分もさらに輝くという運命にあった人なのかもしれないですね。 そんなことまで考えてしまう一冊でした。
シュプリンガー・フェアラーク東京
無限の天才―夭逝の数学者・ラマヌジャン ペトロス伯父と「ゴールドバッハの予想」 (ハヤカワ・ノヴェルズ) The Man Who Loved Only Numbers: Story of Paul Erdos and the Search for Mathematical Truth 素数に憑かれた人たち ~リーマン予想への挑戦~ 偉大な数学者たち (ちくま学芸文庫)
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